人口ピラミッドが少子高齢化の影響で、三角形から徐々に逆三角形へと変化しつつある日本。従来は高齢者が人口に占める割合が10~20%でしたが、今では30%ほどに上昇しております。
今後この割合がますます加速するとの予想もあり、単純に5人で1人の高齢者をカバーする割合から、3人で1人をカバーする割合に変化する事で、ますます労働可能者の負担が増えていくでしょう。
高齢者が増える事で医療や介護システムの充実が今後日本の大きな課題となっていますが、介護システムの最先端を走るオーストラリアはどのようになっているのでしょうか。
オーストラリアは日本と大きく異なる点は、老後の生活が日本よりも安定している点が上げられます。メディケアと呼ばれるオーストラリア版国民健康保険があり、パブリックで医療を受ける限りでは、医療費が無料で、介護に関しても国の財源が充実しています。
日本の様に介護保険に加入したり就労が困難となった年齢でも、それなりのサービスを受けるには毎月決まった出費が必要とされる点では大きく異なります。
所得税やその他もろもろ何かと税金が高い部分はありますが、就労困難な年齢になった時に、お金の心配が少ないのはオーストラリアのシステムが優れていると言えます。
重度の介護を要する高齢者向けの施設や、ある程度裕福な人達向けを集め、ビレッジ感覚で総合的にケアを行うテラスハウスやアパート形式の施設もありますが、現在では慣れ親しんだ環境で、生活を継続させながらケアを受ける。在宅ケアがメインとなっています。
在宅ケアのレベルは生活支援の必要度や頻度に応じて、レベルに分類されている点は日本と類似していますが、日本の場合はこのレベルを判断するのが個々のケアーマネージャーの業務になり、彼らによって判断されてますが、オーストラリアではACAT(Aged Care Assessment Team)と呼ばれる介護系のアセスメント機関が医師・看護師・ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士などによって構成され、それぞれの分野から意見を出し合い、チームの判断として、ケアレベルの判断や、個々へ最適なケアサービスを実施しております。
ACATに登録した高齢者は、RCS(Residential Classification Scale)という査定表に基づき、レベルが1~8に分類されます。介護の重度が高い場合には、介護施設へ、介護の割合が程度の場合には、自宅でのケアにと振り分けられることになります。
自宅で介護ケアを受ける方々には、介護者報酬と介護者手当の2つのタイプの金銭的支援制度があります。
介護を受ける人のみ金銭的なサポートを受けるのではなく、要介護者をサポートする側も、金銭的にも精神的にも負担を強いられるのは事実です。その金銭的な部分を政府が補助するのは、健康で健全な生活を送る上で頼もしい制度だと言えます。
この様な日本とオーストラリアでは老後の介護制度が大きく異なります。もちろん文化や背景が異なるので一概に、どちらの制度の方を採用するべきなの難しい部分もありますが、より普段と変わらぬ生活をストレスなく送れるという観点からは、オーストラリアの制度の方が良い点も多く、良い点は日本でも取り入れていくべきだと思われます。