日本ではもう間もなく参議院選挙が実施されますが、オーストラリアでも少し前に選挙が行われ、政権が保守連合から労働党へ9年ぶりに交代する結果となりました。
下馬評から労働党が優位との情報が流れていましたが、ふたを開けてみれば、労働党72議席、保守連合は52議席と予想以上の大差での政権交代となりました。
コロナ対策が不十分、景気後退、外交問題等々保守連合が大敗した理由をメディアがあげておりますが、歴史の紐を解くと、元来オーストラリアの政権は2大勢力(保守連合と労働党)との間で揺れ動いています。
旗振りの原理に似ており、1,2期務めた後は、旗の反対側の政権。この繰り返しです。 日本の様に野党があまりにもお粗末すぎて、選択肢が与党である自民党しかない現状よりは、かなりマシなのかもしれません。
通常、経済重視の保守連合、福祉や環境問題に力を入れている労働党と言われております。
別な言い方をしますと、経済を活性化し、企業に有利な政策を実施し、国庫を潤し、西側諸国に近い動きをするのが保守連合で、その保守連合が貯めた国庫を国民にばらまき、中国との関係性を重視するのが労働党だと指摘する専門家もあります。
事実1,2期労働党が政権を務め国庫の底が見え始めますと、保守連合が勝利する。いわゆる旗振り状態が交互に行われるのがオーストラリア政権の特色です。
またオーストラリアの投票率はおよそ90%以上で、毎回国民のほとんどが投票をしており、50%にも満たない日本の投票率と比べるとほぼ倍の投票率となっています。
投票率が高い理由は投票会場で無料のホットドックが配られているからと、オーストラリア人の気質を揶揄した言い方もありますが、理由はシンプルでオーストラリアでは投票が国民の義務になっており、投票を行わないと罰せられるからです。
州によって異なりますが、数万円の罰金が科せられます。徳川幕府が長期続き、政ごとは上が決めるもの。その様な体質がいまだ脱却できずに、何事にも他人任せ気質の日本人と異なり、権利は自分で勝ち取るものとはっきりしているオーストラリア人の特徴も投票率の高さの理由だと言えます。
その他にも日本とオーストラリアが大きく異なる点が、国会議員の国籍に関して、二重国籍は一切認めてない所です。
オーストラリアは過去も現在も多くの移民から成り立っている国です。よって法律的に二重国籍を認められております。ただ選挙活動を行う際には、オーストラリア以外の国籍は返上しなくてはなりません。
特にオーストラリアとニュージーランドは政治経済防衛など様々な面で結びつきが強く、どちらもパスポートを保持している人も少なくありません。
そんな感覚で二重国籍を保持していた議員が今から数年前に発覚し、国籍問題で9人も国会議員が失職になりました。
国益や国防の観点からこれはオーストラリアに限らず、どの国でもごくごく当たり前のことです。
日本は少し前に某議員の二重国籍問題で、あいまいな態度で逃げてしまった議員がいますが、そんな不祥事を起こしたのにもかかわらず、辞職もせずに国会議員として居座る、非常に摩訶不思議な現象が起きています。
これは海外ではありえない事ですが、日本ではまかり通ってしまうようです。
日本は周りを海に囲まれて、外敵から長い間守られてきました。平和は素晴らしい事ですが、隣国には虎視眈々と領土を狙う大国の存在もありますので、もう少し自衛の策を考慮した方が良いと思われます。