先日日本円と米ドルの為替レートが、一時期20年振りとなる1ドル135円台に突入しました。資源の乏しい日本は、戦後外国から資源、原材料を輸入し、国内で製品に加工して、海外に輸出する加工貿易で戦後の復興に成功しました。

より品質の良い製品を安く販売できれば、それだけ消費者にとっては喜ばしい事で、バブル期には、“日の沈まぬ国” と呼ばれ、極東の島国がGDP世界第二位まで登りつめました。

ただ突出してしまうと、妬まれるのは万国共通の世の常。

様々な規制や円高。貿易摩擦縮小のために、現地生産などを行った結果、日本最大の武器である生産加工を失ってしまいました。

従来では大歓迎になるはずの円安は、国内での生産&輸出量が落ちているために、大きな恩恵を受けられず、食品の値上げやガソリン高騰など、家計を圧迫するだけの状況になってしまいました。

禍を転じて福と為すではないですが、生きていくために必要な食品を海外から買えば良い。その様な時代はもう終わりが見えております。

かつての日本はお金があったので、日本国内で農作物や食品を生産するよりも、貿易で稼いだ外貨で農作物を購入した方が、安価で効率が良かったのですが、ウクライナ問題や中国やその他の国々が人口増加と、豊かになった影響で、食品の買い負け状態が残念ながら続いています。

今後かつての“日の沈まぬ国”と言われた強い日本に戻る可能性は低く、これからは外国から食品を購入するのではなく、自国で生産する方面にシフトするべきだと言えます。

これからは“農林水産の時代”と言えますが、従来の国から補助金などを受け、守られたスタイルでは、生き残る事は難しく、淘汰されないためにビジネスモデルのチェンジが求められます。

作った農作物は農協がすべて買い上げてくれ、販売をしてくれる。このスタイルでは生き残りは難しく、これからの農家は自分達で、“作って”、“販売して”、“加工する” 最近のワードを使えば、1次産業、2次産業、3次産業を足した6次産業を実施しないと困難な直面にぶつかると言えます。

例えば、自分達で育てた農作物をそのまま出荷するだけでは、付加価値を付けるのは難しいですが、それにひと手間、何らかの加工を施すことで、本来であれば100円でしか売れなかった商材を300円の価値に変える事も出来ます。

その他にも日本国内では競合他社が多く、どうしても売買価格が頭打ちになっている部分がありますが、商圏を日本国内限定ではなく、世界というフィールドまで広げれば、売買価格を上げる事や、販路ルートのすそ野を広げられます。食品は海外から購入するものと言う概念を壊して、輸出するものと位置付けても良いと思われます。

事実日本政府は日本の農作物や食品を主要輸出品目に加えようと躍起になっています。ただ海外との商談には多少なりともハードルが存在するのも事実です。

どの国でも自国の農作物を守るために、何らかの輸出規制をかけています。その規制をクリアーするのは難しい場合も多く、またコロナウイルスの影響で食品の品質を落とさずに輸送できるリーファコンテナのコストが急騰しているのも問題の一つです。

それらをクリアーする方法としては、取れた農作物をそのまま輸出ではなく、ひと手間かけて、常温郵送でも品質、鮮度が落ちない加工食品を考案&生産するのも、大きな解決策になります。

重複しますが、これからは食品の取り合いが世界中で行われます。いやもう既に行われていて、日本は食品購入に競り負け始めています。

そのため国内の自給率は上げるのはもちろんですが、農家も従来のスタイルに固執するのではなく、ひと手間、ふた手間をかけ、国際市場のディマンドに合わせた生産スタイルを確立するのが、成功への一里塚だと言えます。