コロナワクチンの接種率も世界全体でかなり改善され、ワクチン接種を条件に各国での出入国がだいぶ緩和されつつあります。

ただまだまだコロナウイルス自体が未知なる部分も多く、ワクチン接種率が増えた国でも、コロナ患者数が減少するどころか、爆発的な増加を続けている国も少なくありません。

ワクチンを接種したから安全=マスク着用、手洗いうがいは必要ない。この様な考えをする人は、実は海外では多くおります。元々マスクをつける文化がなく、花粉症でマスクをつけて街中を歩いていると、怪訝そうな顔で見られてしまう。

文化の違いとは言え、根底の考え方が変わらない限り、また近いうちにコロナ感染者が増加し、出入国制限だけではなく、ロックダウンを実行されるのではないかと、懸念しております。いずれにしても世界全体が落ち着くのは、もう少し日数が必要かもしれません。

経済回復を優先とし、コロナウイルスは撲滅ではなく、折り合いをつける事でバランスを取り始めている世界ですが、人間の出入りが増える=観光客も増えつつあります。

日本だけに限らず、海外からの観光客が落とすお金は、どの国でも重要な資源となっております。観光客がそれぞれの国に訪れる目的は様々ですが、観光客の多くが目的とする雄大な自然の恩恵を受けられる国や地域ばかりではありません。

その様な国と地域が活性化を目的として設立されたのがカジノになります。

ラスベガスやマカオを見れば、カジノがどれだけの経済効果をもたらしているのか、今更述べるまでもありません。経済効果を見込んで日本もカジノを合法化しようとする動きがありますが、文化的にギャンブルは良くない。治安が悪くなる等のネガティブなイメージがある日本では、ストレートに話を進めるのは難しい様です。

オーストラリアには第二の都市メルボルンではカジノがありましたが、オーストラリアは各州ごとにルールや法律が異なる場合が多く、オーストラリア随意の都市シドニーがあるNSW州では元々カジノはご法度でした。2000年に開催されたシドニーオリンピックに合わせてようやくNSW州でもカジノが開設されました。

簡単にシドニーでもカジノが開設できたかと言いますと、紆余曲折。様々な議論が飛び交い、法案は通りましたが、実際の着工工事は予定よりもかなり遅れました。カジノ設置反対派は、日本と同様にギャンブルの中毒性、治安の低下等をあげていました。

事実カジノに入りびたり、完全なギャンブル中毒者になった人もおり、家族が崩壊した。財産をすべてつぎ込んでしまい破産した人も出てニュースにも取り上げられました。

その後にカジノの違法性を叫び、裁判沙汰になったケースもありました。

確かにこれらの問題はカジノが呼び水になったことは否めませんが、ギャンブル依存症は何もカジノに限った事ではありません。厳しい言い方をすれば、カジノがなくてもギャンブル依存症の人は、その他のギャンブルで破産していた可能性が高いと言えます。

またカジノが出来たことで、その地域の治安がさらに悪くなる事が懸念材料になっていましたが、現在シドニーにあるカジノはPyrmontと呼ばれる地域で、シドニー市内にも近く、清楚な住宅街として人気のスポットになっていますが、元々はこの辺り周辺は倉庫街で、昼間でもあまり女性が一人では歩かない方が良いくらい治安が悪い地域でした。

しかし政府が一押しするカジノ周辺の治安が悪いと、観光客へのネガティブなイメージを与えかねないことから、警察官の巡回も含めてかなりテコ入れを行った結果、今の好立地、治安の良さにつながっております。

その他にもカジノはギャンブルを行う所だけの場所ではなく、シアターやショー、各種イベントに、リーズナブルで提供するフードコートから、おしゃれなレストラン、子供でも楽しめるアトラクション施設までと、ただ単にギャンブルを楽しめれば良い場所から、大人から子供まで、老若男女問わず楽しめる総合的なアミューズメントパーク。それが現在のカジノだと言えます。

確かにカジノが与えるネガティブな要素も否めない部分がありますが、運営に関しては政府や自治体主導ではなく、ある程度民間業者に任せれば、イメージを良く出来る箇所はあると思えます。

またどのくらの経済効果をもたらすのか、インフラも満足に整っていない&商圏規模が厳しい地方がどれだけの恩恵を受けて、活性化するのかを考えれば、カジノ設置は必ずしも否定的な存在ではないと言えます。