最近コロナの影響もあり、既存のビジネスモデルでは経営が成り立たず、今後どうしたら良いのか?と相談を受ける機会が、かなり増加してきております。

日本国内、特に地域密着をベースに考えたビジネスモデルは、限界を感じている経営者も多く、必然的に“市場が大きい海外はどうなのか?”と相談を受ける流れになっています。

確かに日本市場の今後は残念ながら決して明るい物ではありません。

人口=市場の大きさの原理から基づきますと、1億2千万の人口を抱える日本市場は決して無視できないポテンシャルを抱えている市場ではありますが、少子高齢化、価格競争、成熟したサービス等の観点から考えますと、他のオプションを視野に入れても良いのではと思えます。
 

海外市場を理解する

企業はボランティアではないので、収益を上げないと経営を維持する事は出来ません。 よって経営に悩んでいる経営者の大半は、収益を上げる事で大抵の問題が解決する事が出来ます。収益を上げる方法は数多存在します。

その一例として海外進出があります。

以前に大々的に調査を行った所、海外に興味があると回答をした企業が、実に7割以上となっていました。ただ実際に行動を起こしている企業及び計画を立案している企業となりますと、この一割にも満たない結果がありました。 

更に行動を起こしている企業の9割弱が一年以内に計画の見直し又は頓挫と言う厳しい回答でした。その理由は過去にも述べてきましたが、一言でいえばアジャストできなかった。これに尽きると言えます。

日本のことわざでも郷に入ったら郷に従えがあるように、海外に飛び込むには現地の商法、文化、慣習に合わせる必要があります。 

日式を完全に捨てる必要はありませんが、どこかで現地のやり方を理解し、受け入れ、妥協が成功の必須要素になります。

また日系企業の海外進出が上手くいかない理由として、国際規格を考慮していない点も挙げられます。 

賛否両論、好き嫌い、無意味等々、様々な意見があるのは事実ですが、国際規格はその名の通り、国際社会である程度認められた規格や認証になりますので、それを全く無視する事はできないと言えます。

例えば、HACCPと言う食品加工工程に関する認証があります。オーストラリアではかなり前からこの認証が義務化及び日常化しており、小規模の企業であったとしても、この認証を取得しております。 

しかし日本ではと言いますと、最近やっと義務化が決まったとはいえ、この認証を取得している企業は少なく、それどころか認証自体を知っている経営者も残念ながら少数なのが現状です。 

また世界の潮流として、体に優しい、体に良い食品。オーガニック食品が重宝されています。 確かに私の幼少期に比べて、アレルギーを持っている人間が増えたのも事実です。 

その結果安全な食品を多少高価でも手に入れたいと思うのは、自然の流れだと言えます。 

日本には無農薬や、安全な食品を作るこだわり農家、メーカーが数多く存在します。実際にその現場を目にすれば、彼らが驚くくらい、手間暇と努力をされている現実に気付かされます。 

その自信作を海外にと考えられる方々は多くいるのですが、残念ながらその大半は、オーガニックの認証を取得していないのが現状です。

一概には言えませんが、オーガニック等の認証を取得していなくても商材は売れる可能性はあります。ただこの場合だと競合他社との相違点があまりつけられずに、価格競争に持ち込まれてしまい、想定していた金額を下回るケースがほとんどです。 

無農薬で安心。味も美味しいはずと主張はごもっともなのですが、その安心な食料品だと証明するものがないと、折角作り上げた自信作も正当な評価が受けられなくなってしまいます。 

もちろん認証を取得するには、多くの時間と労力、それに予算も必要となります。 

ただ本気で海外で勝負と考えた場合には、国際的に認知度のある何らかの認証を取得していた方が、自信作に対して正当な評価を得やすいのが現状となっています。