世界経済への大打撃を与えたコロナウイルスの猛威は、当然オーストラリアへも大きな爪痕を残しております。
またオーストラリアは世界の大陸から孤立した地理的な環境からか固有種が多く、そのオーストラリア独自の固有種保護の名目で、国外からの病原菌や動植物の持ち込みにはセンシティブな国です。
コロナウイルスが世界を蔓延した状況下で、先進国ではいち早く外国人入国禁止や、オーストラリア国民であったとしても、帰国時には政府指定の施設で隔離実施。その緊急処置は一年以上たった現在でも解除されていません。
外国人の出入国禁止は、確かにコロナウイルスを封じ込める意味では非常に効果が高い選択だと言えますが、反面経済への影響も少なくありません。
日本を含め、このバランスが世界各国の頭の痛い悩みの種となっております。
ただオーストラリアはこの状況下で先進国ではこちらもいち早く、景気低迷から復活しV時回復をする兆しが出ております。
様々な発表やレポートでもその兆しが確認できますが、一庶民でも簡単に景気回復が感じられる証拠があります。それは賃貸家賃の上昇です。
一時期はコロナ前と後とでは、およそ4割の家賃下げ幅の所もありましたが最近では、徐々に高騰しており、年明けには元の水準に戻るとの予想も出ております。
またリーマンショックの時もそうでしたが、オーストラリアは世界に先駆け景気がV時回復した経験があります。今回も堅調な回復を見込める大きな背景は、オーストラリア国内に抱える豊富な地下資源の存在があります。
コロナをきっかけに、それまで貿易の最大の取引先で、オーストラリア国内にも多額の投資を行っていた中国との関係が悪化し、景気回復の足かせになるとの見方もありました。事実中国からは、オーストラリアの主要貿易品目である、ワインやロブスターに対して、有害物質が含まれる、ダンピングと判断し関税増額等の嫌がらせを受けている状態です。
しかしこれらの問題を抱えながらも、鉄鉱石の需要増加に伴い価格の高騰及び、中国以外のアジア諸国や中近東からの輸出が急増しております。
地下資源は、中国が購入しなくても購入希望をする国はごまんとおり、彼らの存在が景気回復の牽引となっています。
オーストラリアは地下資源のお陰で、コロナの影響を最小限に抑え、2022年は大幅に経済指数が上がるとの見方もありますが、そうは易々といかない雲行きになってきました。
景気回復の足かせは・・・
オーストラリアの面積は日本のおよそ20倍ありますが、人口は東京都と同じくらいになります。またその国民性からか、勤勉とは程遠く、我々日本人から見れば驚くような勤務姿勢になります。
その為オーストラリア人が好まない業務や、土日祝日等の勤務日時は必然的に外国人で賄う様になっております。
またオーストラリアの人件費は、日本と比べ非常に高額で、経営者にとって頭の痛い悩みとなっております。それを安価な金額で雇える外国人がカバーする。
この仕組みがオーストラリア経済を循環させていると言っても過言ではありません。
ただ外国人の入国が制限されている今、学生やワーキングホリデービザを取得し、新たな外国人労働者を雇用する事は難しく、特にIT、エンジニアリング、ホスピタリティー等の分野で深刻な人手不足になるとの警告も出ております。
オーストラリア国内でも冬到来と共に、コロナウイルス感染患者が増加し、緊急ロックダウンも続いております。
今後の課題としては、どこかのタイミングで鎖国政策を解除する時期が来ると思われますが、そのタイミングを見誤ると、オーストラリア国内で大規模なパンデミック発生しないとも言い切れません。
経済とコロナ蔓延防止。オーストラリアもこの難しい二つのかじ取りに頭を悩まされていると言えます。