オーストラリアはご存じのように日本と比べて国土は広く、総面積は日本の20倍を誇ります。 ただ国土の大半(およそ70%)は人が生活をするのに適していない乾燥&砂漠地帯で、人口の大半は、沿岸部に集中しております。
現在オーストラリアでは毎年のように夏季には節水要請や深刻な水不足が問題となっています。世界の平均年間降水量は810mmで、オーストラリアの平均年間降水量は465mmと、世界平均降水量のおよそ半分です。 人口=国力と言う考えもあり、オーストラリアは国策として人口増加をテーマに上げておりますが、国土が広い割には使える土地は限られており、都市部に人口の大半が集中し、住宅やその他のインフラ整備など、様々な問題を引き起こしています。 またオーストラリアの主力輸出品は地下資源だけではなく、小麦、大麦、とうもろこしなどの穀物類の他にも、乳製品、牛肉なども主力輸出品目で、これらの農作物、畜産には人間同様に大量の水が必要になります。
現在の人口を十分に賄える水確保だけでなく、今後国の発展の為にオーストラリアは早急に水問題解決を必要に迫られています。オーストラリアの水資源確保プロジェクトの一環として、大規模な水再処理施設があげられます。このプロジェクトに対して政府は総金額300億ドル(日本円で約3兆円)の資金を投入しています。
当初は無限に広がる海水から飲料水を作成する海水淡水化施設が注目を浴びておりました。 海水淡水化の主要な技術には、逆浸透(Reverse Osmosis, RO)が使用し、ROは、高圧をかけた海水に半透膜を通すことで塩分や不純物を取り除くプロセスになります。
このプロセスにより、海水は飲料水の基準を満たす高品質な淡水に変換されますが、海水から淡水を作り上げるのには、より大規模なプラント建設及びその費用と、膨大なエネルギーが必要な為、現在のエネルギー価格高騰のあおりを受けて、下火になっています。
代わりに限りある資源を有効活用するリサイクルシステムが注目を浴びいます。
それまでオーストラリアでは十分な水再処理施設が存在せず、適切な処理をせずに、海に排水を放出していました。 まず下水処理水再利用施設を建設し、その使用済み水(下水)を浄化し、再利用可能な水資源に変換し水資源の持続可能な管理が支援され、環境への影響が軽減され、公共衛生が保護されることになりました。
技術とプロセスについてですが、オーストラリアの水再処理施設は、高度な技術と処理プロセスを使用して水を浄化しており、典型的な処理ステップには、機械的な処理、生物学的な処理、化学的な処理、逆浸透、紫外線処理などを施します。
この技術的なプロセスによって、浄化された水は高品質の再生水として使用可能になりました。
浄化&再利用された水は農業用水供給、工業プロセス水、公共の緑地やゴルフ場の灌漑などの他にも、一部の地域での飲料水供給として供給されています。 オーストラリアでは、限りある水資源を有効活用する再生水の利用を奨励し、持続可能な水資源管理を実現するために積極的な措置が取られています。
まだまだオーストラリアの水再処理施設&プロジェクトは、十分に機能しているとは言い難く、乾季に厳しい水資源管理を徹底コントロールする事で、各方面への水供給を行っていますが、高品質の再生水供給、環境保護、公共衛生、農業、工業など多くの分野において重要な役割を担っていくと予想され、持続可能な水資源管理の観点から、その役割はますます重要にいくと考えられます。