先日2028年ロサンゼルスオリンピックの追加競技について、クリケットが正式に実施されることが決定しました。
クリケットについて詳しく知っている日本人は、それほど多くなく、大抵の日本人はオリンピックで実施されることについて、クエスチョンマークがいくつも並んだと思います。
クリケットは日本を含むアジアや、北米、中南米で人気がある野球の原型ともいわれ、
1900年にパリで開催された第二回オリンピック以来、実に128年ぶりのオリンピック復帰となりました。 日本では全く知名度がないクリケットですが、オーストラリアではラグビーやAFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)、それにテニスに匹敵するくらい人気が高いスポーツとなっており、先日インドで開催されたワールドカップでは、地元インドを決勝でオーストラリアが破り5度目の栄冠に輝き、オーストラリアのニュースでも連日大々的に取り上げられたくらいです。
また競技人口はサッカーに次いで世界で2番目に多いとも言われ、発祥の地イギリスの他にも、オーストラリア、インド、パキスタン、南アフリカ、西インド諸島等、旧イギリスの植民地だった国々で大人気のスポーツとなっています。 クリケットは各国でプロリーグがあり、驚く点は選手の平均年俸は日本円でおよそ4億6000万円となっており、NBAのプロバスケットボールに次ぐ平均高年俸となっています。 特にインドやパキスタンなどの南アジアでは爆発的な人気を誇っており、トッププレイヤーは年俸30億円を超える報酬を受け取っています。

オリンピック憲章の項目には、スポーツの普及と言う項目もあるので、その観点からみれば競技人口の多さから、追加競技として採用されたのはごくごく自然な形だと言えなくもないですが、最近のオリンピックは明らかに商業主義に走っており、健全なオリンピック憲章を元に選ばれたと100%断言できない部分もあります。
クリケットの人気や競技人口は特定の国に集中しており(野球やソフトボールもそうですが)、その他の国々ではルールは勿論のこと、知名度もそれほど高くなく、国によってはゼロに近い所も少なくありません。 それでも採用となった背景を少しうがった見方をしますと、現在では中国を抜いて人口世界一となったインドのマーケティングをIOCが重視し、彼らの興味を取り入れ、インドからの視聴率アップを望むだけでなく、2027年には日本を抜いてGNP世界第3位になると言われているインドの経済力を当てにしている点も否めないと言えます。 オリンピックは元来創始者であるクーベルタン男爵の提唱した思想の一つであるアマチュアリズムがオリンピック憲章の中でも厳格に明記されていました。 過去には報酬やメーカの用具を使用したために、金メダルをはく奪された選手もいたほどです。ただこの憲章は現在では削除され、1984年ロサンゼルスオリンピック(2回目開催)から商業主義が加速され、現在では大々的なスポンサー広告や、テレビ局の意向に従い、地域のゴールデンタイムに合わせて、深夜や早朝から競技を実施したりと、選手ファーストではなく、スポンサー第一主義に代わってしまった感も否めません。
オリンピックに関わらず、サッカーのワールドカップ誘致&開催には、巨額のお金が動きますので、決定権を持つ委員を取り込むための誘致合戦が加速している部分もあります。
スポーツイベントは単純にアスリートの素晴らしい記録を生む出すために、最高の環境を提供するから、どれだけ利益を産み出してくれる環境に代わってしまった部分もあるのかもしれません。現在のオリンピックを観たらアマチュアリズム提唱者のクーベルタン男爵はどの様に思われることでしょうか。