4月から新年度になり、進学、就職に進み、新しい生活に胸を躍らす人も多いと思います。ただ同時に4月から食料関係を中心に値上げに踏み切る企業も少なくありません。
その背景には、もちろんロシアがウクライナに攻め込んだ事が大きく関係しております。
ロシアもウクライナ共に、その気候から欧州の穀倉地帯とも言え、小麦や大麦など生きていくには必要不可欠な穀物類を多く産出しております。
その2大穀倉地帯のうちひとつは、戦争で壊滅的、もう一方は侵略戦争と国際から位置づけられ輸出規制を掛けられています。そうなると自ずから穀物類の値段は上がり、小麦などはほとんど国外からの輸入に頼っている日本企業は、利益確保のために値上げせざるを得なくなり、そのしわ寄せが我々一般市民に来てしまいます。
またロシアは穀物だけではなく、こちらも生きていくには必須アイテムである石油、天然ガスなどの地下資源も豊富にあり、国際社会の輸出規制で大幅な値上げとなっております。
アメリカなど西側諸国は大々的な備蓄石油の放出を決めましたが、備蓄はあくまでも備蓄であり、大元の資源国からの輸出が滞ればその備蓄もいずれは尽きてしまいます。
いずれにしましても、ロシアとウクライナとの間の戦争は、今日明日に終わるものではなく、歴史的にももっと根っこが深いと言えます。 残念ながら当面はこの資源&穀物の価格高止まりが続きそうです。
資源や食料などの多くを海外からの輸入に頼っている日本ですが、価格高騰の裏には、現在急激に進んでいる円安も影響しております。
日米ドルの為替レートが一時期125円と6年7か月ぶりに円安になりました。
日本円の価値が下がれば、それだけ外国の商品を購入する際に多くの円が必要になります。
円安の理由は戦争などのリスク回避や米国の利上げの影響などが上げられておりますが、こちらも国際情勢が不安定な状況なので、日銀が大規模な為替介入をしない限り、当面は円安が続くと予想されております。
円安は外国から資源を購入し、国内で製品として加工し、海外に輸出する。所謂加工貿易立国日本にとっては歓迎すべきものでした。
ただ現在では生産拠点の多くを人件費や諸経費を抑えられる海外に移転している都合上、必ずしもその恩恵を受けられていません。むしろ円安になればなるほど、資源を中心とした海外からの輸入品の価格が上がってしまい、マイナスにしかならないのが現状です。
為替ですが過去に一時期円米ドルレートが70円中盤に突入した時期もありました。
当時の日本政府の無策もさることながら、こうなってしまいますと、日本から海外へ商品の輸出は価格競争で他国の競合品と値段で勝負できなくなってしまいます。
そのため日本企業は生産拠点を国内ではなく海外へ置く事で、生き残りを図ったと言う訳になります。
ただ国内の生産拠点がなくなったために、技術などの空洞化もこの時期から急送に加速しました。
日本の強みは技術力と加工貿易しかないので、その武器を他国に依存してしまいますと、日本の存在意味にもつながってしまいます。
コロナが蔓延し、運送コストの高騰、通関業務のストップなどで、海外からの部品が届かず、国内での組み立てが行われずに、商品化の遅れがかなり出ております。
国際間の大規模なサプライチェーンも大事ですが、有事に備えてこれからは国内ですべてを賄えるチェーン作りも大切になってくると言えます。