最近日本ではサービス残業や、有給休暇消化などの就労者が得ることが出来る権利に関して、それを遵守するように企業側に求める、働き方改革のワードがニュースで目に留まる機会が増えてます。ただ実際の所政府が音頭を取る働き方改革を遵守出来るのは、いわゆる大手企業がほとんどで、日本の90%を占める中小企業では、実際問題難しいのが現状です。
徐々に日本での就労環境が分かりつつありますが、育児休暇や有給休暇が取りづらい部分もあり、政府が定める方針に完全にアジャストするには、まだまだ日数が掛かりそうです。

日本とオーストラリアの就労環境

1. 労働時間とワークライフバランス

日本:
長時間労働が一般的で、「過労死」という言葉が国際的にも知られています。
残業が美徳とされる文化が根強いですが、近年は働き方改革により残業削減や柔軟な働き方が推進されています。
有給休暇の取得率が低い(2022年の取得率は約60%)。

オーストラリア:
ワークライフバランスを重視する文化が根付いています。
労働時間は法律で厳しく規定されており、1週間の標準労働時間は38時間。
長期休暇(4週間の有給休暇が一般的)を取得するのが当たり前。

2. 労働文化と職場環境

日本:
上司や先輩を尊重する縦社会の文化が強い。
会議や意思決定に時間がかかる「根回し」の文化がある。
個人よりもチームワークや全体の調和を重視する。
オーストラリア:
フラットな組織構造が一般的で、上下関係よりも個々の意見が尊重される。
自己主張や独立性が評価され、効率を重視した働き方が一般的。
職場の多様性(ダイバーシティ)が重視され、さまざまなバックグラウンドの人が活躍している。

3. 給与と福利厚生

日本:
終身雇用や年功序列型の給与体系が根強い(徐々に崩れつつある)。
ボーナスや退職金制度が充実している一方で、基本給は他国と比べて低め。
福利厚生として住宅補助や交通費支給が一般的。

オーストラリア:
成果主義が強く、能力や業績に応じた給与が支払われる。
最低賃金が高く、2024年現在で時給24.1ドル。
退職金として「Superannuation(スーパーアニュエーション)」という年金積立制度があり、雇用主が給与の一定割合(通常11.5%)を拠出する。

4. 休暇制度と柔軟な働き方

日本:
有給休暇の取得率が低い傾向。
育児休暇や介護休暇の制度はあるが、実際に取得する男性は少ない。
テレワーク導入率は増加しているが、対面主義が根強い企業も多い。

オーストラリア:
有給休暇の取得が当然視されており、ワークライフバランスを重視する働き方が主流。
育児休暇やパートナーシップ休暇(配偶者の出産に伴う休暇)も充実している。
テレワークやフレックスタイム制が広く普及しており、働き手のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能。

5. 社会的価値観

日本:
仕事を人生の中心とする価値観が強い。
会社への忠誠心が高く、転職は一部の業界を除いてまだ一般的ではない。
周囲との調和を重視する「空気を読む」文化が職場にも影響を与える。

オーストラリア:
仕事は生活の一部と考える価値観が主流。
転職が一般的で、キャリアアップのために複数の職場を経験することが奨励される。
自分の意見や希望をはっきり伝える文化がある。

日本は従来の労働文化が変わりつつあるものの、伝統的な働き方が根強く残る部分があります。一方、オーストラリアは働き手の権利が法律でしっかり保護され、より柔軟で効率的な働き方が実践されています。どちらの働き方も一長一短があり、どちらかが良いと言う訳ではなく、それぞれの文化や背景に合わせた働き方の適合が今後の課題だと言えます。