コロナ感染者数は増加の一方をたどっていますが、数年前のコロナパニックに比べて、比較的官民ともにショックの度合いが落ち着いていると言えます。
医療現場が差し迫っている状況には変わりはありませんが、世界的にはインフルエンザの進化バージョンと言う見方に変わり、国境封鎖や大掛かりなロックダウンなどの政策よりも経済優先のウイズコロナ政策へとシフトしております。
ビフォーコロナの時期に比べて、まだまだリスクは存在しますが、コロナ蔓延時期に海外との取引を差し控えた企業が徐々にですが海外との取引を再開したケースも増えております。
今後なくなりはしませんが直接ひざを突き合わせる出張が減少し、リモートを利用したコミュニケーション手段が重宝されていくでしょう。
この様に海外との取引の方法が時代や状況に応じて変化していますが、未だに変わらない点も存在します。それは日系企業が日本式のビジネスウエイを海外でも持ち込む点です。
なぜ海外との取引がうまくいかないのか
“郷に入ったら郷に従え” 古来からの日本のことわざですが、ことビジネスに関してはこのことわざから乖離している日系企業が多いのが現状です。根本的な所ですが日本の商法は海外、いや世界のスタンダードから大きく異なっています。これはどちらが良いとか悪いとかではなく、日本式と世界の常識が異なるだけの話しです。
自分達の価値観から相手方の価値観の距離が離れていればいるほど、すり合わせを行うのが大変なのは至極当然ですが、このすり合わせが日本人はどうもうまくない点が、国際化、海外への販路開拓の音頭を取れども予定通りの結果が伴わない点だと言えます。
異なる価値観は多く存在しますが、そのうちのひとつに商談で“お金の話をしない”点があげられます。これも根本的な話になりますが、なぜビジネスをおこなうのか問われれば“利益を上げたい”からおこなう以外の何物でもありません。苦労して商談を成立させたのはいいですが、商談の度に赤字ではビジネスをする意味がありません。
まずはこの商材又はサービスを提供するにはいくらいくらの料金です。これに対して相手側がどの様に反応するのか、それに基づいて判断する。これが世界のスタンダードになります。
日系企業と外資系企業との商談に同席し、最後まで日系企業側がお金の話をせずに、後日結局外資系企業から“この商材は結局いくらになるのか?”また“彼らは本当に我々とビジネスをしたいのか?”等々ごもっともな質問が相次ぎました。
日本式の観点からはお金の話は最後であり、まずはお互いの情報交換や状況把握が第一で、それがある程度納得した時点で小出しにお金の話をするのが定石になります。ただこれを海外でやりますと“本気で取引をしたいのか?”になってしまいます。
こちらも文化の違いになってしまいますが、どんなにお互いの商材やサービスに興味があったとしても、予算には限りがあり、どうしようもない懐事情もある。まずはこれをクリアーにしないと他の話をしても意味がない。結局時間の無駄になる。効率を第一としている海外ならではの考えになります。
このどうしようもない事情がクリアーにならなければその後の話し合いは意味がなく、お金の交渉の結果折り合いがつかなければ視点を切り替えて他の類似品を探す。効率重視とこの切り替えの早さが、日系企業が海外との取引を希望するのであれば必要不可欠の要素になります。