連日日本ではコロナのニュースがトップで流れており、少々食傷気味なのは否めません。感染者増加に伴い、再び各都道府県で蔓延防止法が適応されて、再び行動の制限が設けられました。

蔓延防止法が適応されて、少し動きが見え始めた経済ですが、この適応で再び冷水を掛けられ、経済の動きが鈍化する恐れも出てきております。

いずれにしても感染防止か、それとも経済重視か、政府は難しいかじ取りに迫られていると言えます。

世界を見回してみますと、コロナ封じ込めではなく、景気回復を第一としたウイズ コロナにシフトしております。

イギリスは今後ロックダウンを含む大規模なコロナ蔓延防止策は行わない事を明言してますし、同様にデンマークも経済を重視する声明を上げております。

入国条件が日単位で変化するオーストラリアですが、基本方針として過去2年間続けた鎖国政策ではなく、コロナワクチン接種の条件付きですが、外国人の入国を認めております。

その背景には現在オーストラリアが未曽有の労働人口不足と言う事情があります。

オーストラリアはご存じの通り移民国家で、世界各国からの移民で成り立っている国です。またオージーマインドと言う言葉がある通り、万事のんびりとした国民性で、勤勉な日本人からすれば、驚くくらい勤労意欲に乏しい人が多くおります。

また勤労意欲と反比例する形で、世界有数の高賃金の国と言う大きな矛盾も抱えた国になります。

この大きな矛盾とギャップを支えていたのが、外国人労働者でした。

オーストラリアの賃金は日本では考えられないくらい高賃金ですが、ローカル(現地人)からしますとそれでも不十分な金額で、比較的ローカルの人間がやりたがらない業種、特に建設、物流、飲食など、フィジカル的にきつい業種は敬遠されがちです。

ただローカルには見向きがされなくても、外国人にとっては魅力がある給与に変わりはありません。

オーストラリアにはアジアを中心に世界各国から学生ビザやワーキングホリデービザを利用して多くの若者が滞在しております。

彼らの労働力がオーストラリアの産業を支えていた事実が、コロナ蔓延防止の為とは言え、2年間も鎖国状態によって、皆無となり、国内の深刻な労働力不足が浮き彫りになった形になりました。

特に完全に外国人労働者に依存をしていた飲食業界の人手不足は群を抜いてシリアスで、人材がいないからお店を開けられない店舗も多く存在します。

まもなくオーストラリアでは選挙もあり、この様な状況が続くのは現政権にとって好ましいものではないのは、どこ国でも同じで、オーストラリア政府は外国人に対して、大規模な規制緩和を打ち出しました。

そのひとつが、学生ビザ及びワーキングホリデービザのビザ申請料免除に関してです。

オーストラリアに限らず、滞在するには何らかのビザを取得する必要があります。

オーストラリアは物価上昇と共に、この各種ビザ申請料が年々高騰し、ビザ申請者は決して安くない金額を入国前に支払う必要がありました。恐らく一時的だとは思われますが、オーストラリアの重要な収入源であるビザ申請料を免除するほど、国内の労働人口は切迫している様です。

更に驚くべき点ですが、近年オーストラリアはローカルの人間の雇用を守るために、外国人労働者に対して、就労ビザ発給はかなり厳格化されております。

そのひとつがIELTSと呼ばれる英語のテストで、ある一定以上のスコアーを求められておりますが、今回は国内労働人口の切迫に伴い、このスコアーが取れなかった人間に対しても、労働ビザ発給を行っているケースが出ております。

これらの外国人に対するビザ優遇措置は一時的なものと推測され、いつまで続くのか非常に不鮮明ではありますが、この優遇措置期間内に何らかのアクションを起こせば、より良い条件にてオーストラリア生活を送れる可能性があると言えます。