以前と比べ日本のカスタマーサービスの質が低下したとの声もありますが、それでもまだまだ世界基準から見れば考えられない程、至れり尽くせりの過剰とも言えるくらいのクオリティーです。

恐らく提供するサービスが過剰すぎて、このスピードに人的資源、教育が、追いつけないのが現状なのでしょう。

オーストラリアのカスタマーサービスは基準から考えれば、マシな方なのでしょうが、それでも日本と比べれば、えっ!?と驚く事ばかりです。
 
【インターネット開通までの長い道のり】

以前に会社のオフィスを引っ越した際のことです。引越し予定日にインターネット回線を引く手続きをしても、絶対に予定日よりも1~2週間は遅れるだろうと、覚悟は決めていました。その間会社を休業できないので、一時的にワイヤレスを契約しました。案の定、移転日にインターネットはつながらず、抗議の電話を掛けたところ、新しいオフィスにはNBN回線がコネクトしておらず、まずはその工事が先と言われました。

移転は事前に知らせていたのに、なぜ工事ができていないのだと問いただすと、「インターネットの移転は聞いていたが、大元である回線の工事は依頼を受けていない」 と、子供のようなお粗末な対応。工事の担当者は珍しく時間通りに到着し、回線をつなげインターネットが使用できるようになったのはちょうど4週間後。臨時でワイヤレスを契約していなかったらと思うと、ぞっとしました。あまりのお粗末な対応に、ワイヤレスの別途料金をテルストラに請求したいくらいです。

【いい加減な事務処理】

この話にはさらに続きがあります。工事の後、2つの異なる料金の請求書が郵送されてきました。ここまでは予想の範疇です。料金は高いが、雑な仕事で有名なテルストラ。1回で移転手続きが完了できるとは思っていませんでした。どうなっているのだと、いやいやながら問い合わせると、驚くべき回答が・・・ なんとテルストラのオンライン上に、私の会社が登録されていなかったのです!! 各企業に与えられている顧客番号を伝えても、一切データーが見当たらない。私も怒りを通り越して呆れ果てしまいました。

私だけが運が悪かったのではなく、オーストラリア人の大半が多かれ少なかれ、テルストラのいい加減な処理に振り回されています。特に、移転先インドのカスタマーサービス担当者は英語の訛りが強く、ネイティブスピーカーでも何をしゃべっているのか皆目見当がつかない、と評判は散々です。

問題の元凶は海外に組織の大半を移転したことに始まります。そもそも、日本では当たり前の事務処理ですら四苦八苦しているオーストラリアの企業が、海外に重要な部署を置いて、遠隔操作ができるはずはありません。不思議なことに請求書の発行は国内。会計関係のデーター入力は国外。同じ会計業務なのに、2つに分ける意味が理解できません。なぜ分けたのかと一度テルストラのCEOに話を聞いてみたいです。

ともあれこのときは、電話のたらい回し&やっと出た担当者との2時間近くの格闘の末、何とか請求書を一つにまとめることに成功しました。なぜこのようなトラブルが起きたのか、理由の説明はありませんでしたが、恐らく海外に部署を移転する際に、会社のデーターを紛失したか、入れ忘れたのでしょう。コスト削減を目的としながら、結局は、苦労の割に削減の幅が小さく、その上、評判まで落としてしまった。まさに踏んだり蹴ったりの結果です。

現在はスパッと契約を打ち切ったので、ストレスが無くなり、晴れ晴れしています。

【カスタマーサービスに勝機あり】

ここまで極端ではないにしても、海外に部署を移転したオーストラリア企業の多くは、同様の問題を抱えています。特に大手ソフトウェアー関連の企業は、コスト削減のため、カスタマーサービスを人件費の安い海外に置いている企業がほとんどです。

でもITのスペシャリストならともかく、一般ユーザーや企業が、電話だけの対応で問題を全て解決できるはずがありません。電話で済むのなら、出張は渡航費が掛かるだけの無用の長物で、コスト削減の対象。でも実際には、回数は減っても、直接顔が見える出張がなくなることはありません。

誰かオーストラリア国内で、痒いところに手が届くようなサービスをしてくれないか。やっぱり出てきました。オーストラリア人経営ではなく、アメリカ人経営のベンチャー企業ですが、それまで製造元が行っていたカスタマーサービスを代行したことにより業績が飛躍的に向上。10人程度で起業した会社が、今ではこちらの経済誌で急成長した企業として紹介されるまでになりました。

IT用語は世界共通の言語、英語が使われているので、多少語学力に自信がない日本のITサポート企業でも、技術が確かならば、十分勝算があります。それに日本的な親切、丁寧のカスタマーサポートを行えば、一気に市場を独占できる可能性があります。