日本は国土の周りをぐるりと海に囲まれ、春夏秋冬と4つの季節があり、四季折々の美しい風景を楽しめます。また富士山など、現在でも水面下で活動を続けている火山やオーストラリアでは絶対に味わえない温泉があるのも日本の魅力の一つだと言えます。

ただ、そんな日本の大きな魅力である火山も、地震と言う名の大災害をもたらすリスクをはらんでおります。定期的に発生する揺れが少ない地震から、記憶に新しい東北を中心に襲った大規模な地震まで、日本では避けては通れない災害と言えます。

それに引き換えオーストラリアは、日本人が大好きな温泉は残念ながらありませんが、日本を悩ます地震もほとんど発生しません。地震がないオーストラリアがうらやましい! と移民を考える日本人も増えてきましたが、実はオーストラリアは地震こそないですが、日本とはまた別の自然災害が多発する国でもあります。

日本の地震に匹敵する程頻繁にオーストラリアで起こる自然災害は、山火事になります。オーストラリアの固有種であるコアラが主食としているユーカリの木は、全豪各所で分布されているポピュラーな樹木になります。このユーカリの木は油分を非常に多く含んでおり、この油分が山火事を引き起こす大きな理由になっております。

山火事の被害総額

山火事は理由は様々で、気象条件、地形、人災など様々な原因があります。山火事は非常に恐ろしい災害で、小規模な状態で迅速な適切な対応をしなければ、消防活動ではコントロール出来ないくらいの爆発的な破壊力を持っており、数百万ドルの損害だけではなく、多くの人命を奪う可能性も含んでいます。

オーストラリアで大災害と認定されている被害総額1000万ドル規模の山火事は1967年から1999年の間に23件を記録しました。過去に記録されている大規模な山火事の数々を上げてみますと古い記録では、ビクトリア州を襲ったブラックフライデーと呼ばれる大山火事で、200万ヘクタールを焼き尽くし、71名の人命を奪い、街全体を飲み飲み込み、1000軒以上もの家屋に被害が出ました。また近年発生した大規模な山火事は、2003年1月に、オーストラリアの首都であるキャンベラで起きた山火事で、500軒以上の家屋を完全に破壊し、4名の犠牲を出しました。炎はACT州ほぼ全域に被害が広がり、総額で3億ドル以上の被害総額金となりました。

そして、オーストラリア史上最大かつ、最悪と呼ばれている山火事は、2009年にビクトリア州で発生した物で、”Black Saturday bushfires”と呼ばれております。日本のテレビでも大々的にニュースとして取り上げられたので、記憶にある方も多いと思います。これは人工衛星からも山火事が確認出来るくらいの規模で、焼き尽くされた表面積は45万ヘクタール以上と言われ、東京との面積はおよそ21万ヘクタールですから、東京都がそっくり2個分の森林が燃え尽きてしまった計算になります。

最終的に死亡者は173名、重軽傷者は400名以上となりました。火災が発生してから完全に鎮火宣言が州政府から行われるまでの日数は約1か月半燃え続けた経済的44億ドルと発表されましたが、この被害額はかなり控えめな数字だと言われています。また保険加入者が保険会社に求める保証金ですが、およそ12億ドルと言われてますが、こちらの金額も過小値であり、正確な補償金額を出す事は出来ないと言われております。44億ドルから除外された項目として今節収穫予定だった農作物と、来季予定されていた農業用地は除外されており、政府の試算では家畜が11,800頭、放牧地15万エーカー、家畜の飼料が32,000トンにも及ぶと予想しました。

保険に加入し、保険金を受け取った人ばかりではなく、ましてや日本と比べて訴訟が日常茶飯事に行われるオーストラリア。電気会社が電線に保護装置を設置するのを怠ったと、オーストラリア最大規模の集団起訴が行われました。被災者の弁護を引き受けた弁護士会社では、山火事によって落ちた電線が更なる引火を誘導したと主張。結果2014年に和解となりましたが、膨大な和解金及び引火防止の装置を設置する事になりましたが、その膨大な保証金が結果的に、その後の電気代が引き上げられた原因となってしまった背景があります。

いずれにしましても、山火事は実際の被害者や被害地だけではなく、2次、3次的な時間差で追加ダメージや影響を及ぼす恐ろしい災害と言えます。