大型な物は火力発電所や、水力発電所などに使われ、小型な物では自動車、家庭用家電などに使われ、オーストラリアに限らず、「モーター」を必要としていない機械製品や国はないと断言できます。特に精密機器加工技術に優れた日本製モーターの高品質は世界各国から高い評価を受けております。
市場からの需要が高く、高品質の認識がありますが、それ=商材が売れるのかと言われれば、またそれは別の話で、実際にプラントなどの大型プロジェクトへの参入は、政治的な要素も絡むため、純粋なモーターの性能だけで判断されず、かなり困難なミッションです。また中小規模の案件だったとしても、新規設計案件に最初からの参入はこちらも厳しい場合が多いと言えます。
その大きな理由として、モーターは既に確立されている技術であり、こちらもオーストラリアに限らず、どの国の技術でもある程度の品質や耐久性が生み出す事が可能です。中小規模の案件であれば、予算の関係上最新の技術を投入できない可能性もあり、大きな性能の差が出にくいので、余程の画期的な性能の差を証明出来なければ、サービス&メンテナンスなど使い勝手の良い、既存現地メーカーを選択する流れとなります。
ただ、現在産業用モーターは世界の電力のおよそ50%を必要としていると言われております。世界的な燃料費高の影響を受け、モーターを回転させる為のエネルギー費用は毎年確実に上昇し、企業の経営を圧迫しています。よって産業業界では、非効率の定速モーターやドライブをマイクロプロセッサベースの可変速ドライブに代え、熱効率を上げる事が最重要課題になっております。現在最新のモーター技術を導入する事で、エネルギー消費量を30%程削減が可能になったとの報告があります。これらの最新の技術、設備導入には投資予算が増加しますが、何年でブレークイーブンになるのかなど、将来設定を見越した明確な数値として提案が出来るのであれば、ビジネスチャンスの可能性があると考えられます。
現在産業用モーターとして一般的な物は、DCモータ、ブラシレスDC、およびAC誘導モーターの3つが上げられます。各モーターの特色ですが、DCモーターは実用化された最初のモータータイプの1つで、現在でも初期投資コストの低さや効率の良い駆動性能が評価されており、頻繁に使用されております。DCモーターは速度と精度が重要であるサーボアプリケーションに多く使用されております。速度と精度の要件を満たすには、マイクロプロセッサを用いた閉ループ制御と、ローター位置についての情報が必要不可欠で、特に精度に関しては強い要望があります。またローター位置を正確に把握し情報を得るセンサーの需要も高いです。
AC誘導モーターは他の形式モーターよりも耐久性があるため、産業業界ではAC誘導モーターもよく使用されています。誘導モーターの閉ループ制御を効率的に行うには、三相モーターの電流、ローター位置、およびローター速度を正確に把握し、測定する必要があります。パラメータを熱、振動などの過酷な環境において正確に測定するには、多数のハイサイドとローサイドの電流アンプ、ホール効果センサー、および同時サンプリングのアナログディジタルコンバータ(ADC)が必要となります。これらの効率化と、数量を減らす事が可能であれば、勝算はあると思われます。
BLDCモーターは整流子もブラシもないため、DCモータよりも監視やメンテナンスが少なく、誘導モーターやDCモーターに比べて1フレームサイズ辺りの出力電力を多く生み出す事が出來ます。BLDCモーターの場合、何らかの方法でローターの位置を検出する必要があります。通常はステータに埋め込まれたホール効果デバイスを使用してローターの位置を検出します。ローターの磁極がホール効果センサーの近くを通過すると、N極またはS極が通過したかどうかを示す信号が発信されます。2つのホール効果センサーとディジタルロジックを内蔵し、磁石の位置と方向の両出力を確保し、設計を簡素化してシステムコストを削減が市場では求められております。
オーストラリアで既存に使用されているモーターとの汎用性があり、特殊性やフレキシブルな対応が可能であれば、代替品・交換部品として卸業者や他メーカー製モーターの代理店へ営業活動が可能となります。またモーターに限った事ではありませんが、他の分野と同様に、オーストラリアの安全基準、保証期間や、サービス&メンテナンスはどうするのか等の問題がございます。特に日本の強みはモーターの性能だけではなく、サービス&メンテナンスを含むカスタマーサービスになりますので、この強みをどの様に反映させるのかが、ビジネス成功のカギとも言えます。