2024年の訪日外国人観光客数は非常に好調です。今年の1月から8月までに日本を訪れた外国人は約2,400万人に達し、前年同時期と比べて58%増加し、2019年に記録された3,188万人を超えるのが確実視されております。
特に中国、韓国、台湾からの観光客が増えており、6月には3,135,600人が訪日し、過去最高の月別訪日者数を記録致しました。その背景にはコロナ禍で旅行が制限されていたため、数年間観光需要が大きく抑制されていました。この期間中は世界中の旅行者が自粛していた状況で、パンデミックが収束すると同時に、抑えられていた旅行欲が一気に解放され、「リベンジ旅行」として多くの人々が一斉に旅行を再開されたと言われております。
またアジア諸国では、ビザの緩和やLCC(格安航空会社)の拡大などもあり、日本は人気の旅行先なので観光客が急増しました。
インバウンド増加で大きな経済効果がかなり見込めてますが、その反面地方の観光都市はインフラ面での対応が追い付かない現状もあります。
外国人観光客増加に伴いオーバーツーリズムは観光地での過密化や環境への影響など、様々な問題も産み出しております。その対策のひとつとして観光税を取り入れる政策が進んでおります。特に、人気観光地での混雑や環境への影響が問題となり、観光地の保全と観光客のマナー向上を目的として、観光関連費用を賄うための税としての位置づけになります。現在日本国内では下記の様な観光税が存在します。
1. 国際観光旅客税
2019年1月7日から日本政府が導入した「国際観光旅客税」は、出国時に一人1,000円を徴収する税金です。日本を出国するすべての旅行者(日本人・外国人問わず)に課され、税収は主に以下のような目的に使用されます:
観光資源の保全と観光体験の向上:観光地の保護やインフラの改善、観光案内所の多言語化、観光客向けWi-Fiの整備など。
地域観光の促進:都市部への観光客の集中を緩和し、地方の観光資源を活用するためのプロモーションやインフラ整備に使用。
観光客の利便性向上:空港の混雑緩和や移動の利便性を高めるためのインフラ整備など
2. 地方自治体による宿泊税
地方自治体も独自の宿泊税を導入しています。宿泊税は宿泊料金に応じて課され、税収は観光インフラの整備や地域振興に充てられています。主な導入例としては以下の通りです:
東京都と大阪府:2002年に東京都が、日本で初めて宿泊税を導入しました。宿泊料金に応じて、一泊200円~500円が課されます。また、大阪府も2017年に同様の宿泊税を導入しました。
京都市:京都市は2018年に宿泊税を導入し、観光客から一泊につき200円~1,000円を徴収しています。京都市ではこの税収を観光インフラの改善や観光地の維持・管理、さらには地元住民への負担軽減に活用しています。
3. 観光税の利用目的
観光税は、観光地の保全や観光インフラの充実に役立てられています。具体的には、以下のようなプロジェクトに使われています:
文化財の保護:観光地での文化財や自然資源の維持・修復に使用されています。例えば、京都では寺院や古い街並みの保全のために活用されています。
混雑緩和のための対策:人気観光地での混雑緩和を目的とした交通インフラの改善や、観光客の流れを分散させるためのキャンペーンにも資金が充てられています。
観光客向けサービスの向上:
多言語対応の観光案内所の増設、無料Wi-Fiの設置、キャッシュレス決済の拡充など、外国人観光客が快適に滞在できるようなサービスも整備されています。
今後の展望
観光税は、観光客数の急増に伴う地域社会への負担を軽減しつつ、観光業界を持続可能にするための重要な財源となっています。特に地方では、この税収を活用して地域振興や観光地の保全、住民生活の改善に役立てていくことが期待されています。
観光税の導入は、観光客自身に地元への貢献を促す仕組みであり、観光業を持続可能に発展させるための重要なステップになります。