コロナウィルスの影響も落ち着き、世界中の国への移動がほぼビフォーコロナの状態に戻っております。 観光立国オーストラリアも2024年6月までの12か月のデータで約740万人となっております。以前ほどではありませんが、それでも外国人が雄大なオーストラリアの自然を体験したい人は多く、訪豪者数は世界トップクラスを誇っております。

ただコロナ時期は、自由を抑えられていた反動から、世界中の国々のゲートが開き、人の往来が自由になった影響を受けオーストラリアでもオーバーツーリズムの声が上がっております。

その対策の一環として、外交人観光客に対する課税は避けては通れない課題と言えます。 以下オーストラリアでの観光税について深掘りしていきたいと思います。

 

オーストラリアでは、外国人観光客に対する特定の「観光税」(tourism tax)は導入されていませんが、いくつかの関連する税や費用が観光客にも適用されることがあります。

 

  1. Goods and Services Tax (GST) と観光客の払い戻し制度

オーストラリアの消費税である GST(Goods and Services Tax) は、すべての商品やサービスに対して10%が適用されます。この税は国内外を問わず消費者に課されますが、外国人観光客は一定の条件下で払い戻しを受けられます。この払い戻し制度は「Tourist Refund Scheme(TRS)」と呼ばれ、空港の出国時に利用できます。

 

TRSの主な条件:

合計 $300AUD 以上の商品を購入した場合。

購入から60日以内にオーストラリアを出国すること。

購入した商品を手荷物として持ち出す必要がある場合(例:服、カメラなど)。

TRSでは、購入した商品にかかったGSTやワイン等にかかるワイン均等税(WET)の払い戻しを申請できます。空港や海港のTRSカウンターで手続きを行い、払い戻しはクレジットカードや銀行振込などで受け取ることができます。

 

  1. 観光地や宿泊施設での追加料金

一部の観光地や宿泊施設では、観光客から特定の料金を徴収しています。これらの料金は直接的な「観光税」ではありませんが、観光業が地域経済に大きな影響を与えるエリアでは、このような追加料金を観光税的な形で導入する動きが見られます。

例:環境保護税(Environmental Levy): 特に自然保護区や国立公園の維持費用を賄うために導入されることがあります。たとえば、グレートバリアリーフの観光においては、「リーフ税」(Reef Tax)という形で追加料金が課されることがあります。これは環境保全活動や保護区の維持に充てられるものです。

宿泊施設での地方自治体料金: 都市や州によっては、宿泊税に類似する形式で、観光地への影響を軽減しつつ地域の収益を増やすために宿泊施設利用時に追加料金が課されることがあります。

 

  1. 空港税と航空券に含まれる諸費用

オーストラリアから国際線で出発する場合、通常、航空券には複数の料金が含まれています。その中には「Passenger Movement Charge(PMC)」という出国税に相当する費用があり、これは外国人観光客だけでなく、すべての出国者に適用されます。このPMCは、2024年現在で 60 ドル(日本円で約6,000円) が課されており、航空会社が航空券の価格にこの費用を含めています。

 

  1. 観光地での負担軽減政策と今後の観光税導入議論

オーストラリア政府や観光業界では、観光インフラの負担や環境保護の観点から、観光税の導入が何度か議論されています。特に、オーバーツーリズム(観光客の増加による環境やインフラへの圧力)が問題視される地域(例:タスマニアやグレートバリアリーフ)では、観光収入を自然保護やインフラ整備に還元する目的で観光税を提案する声もあります。

 

観光税導入議論の背景:

環境負荷の軽減: オーストラリアは非常に豊かな自然環境を持つため、観光業による環境への影響が深刻な課題となっています。特にグレートバリアリーフのような自然遺産では、観光客がもたらす影響を軽減するために、さらなる税金や手数料の導入が検討されています。

インフラ整備の財源: 人気の観光地では、インフラ(道路、トイレ、観光施設など)の維持費用が観光収益に見合わないことがあり、これを補うために観光税を導入することで地域経済を安定させる提案がなされています。

 

  1. 州や地域ごとの取り組み

オーストラリアは州や地域ごとに独自の観光政策を持っており、それぞれが観光客に関連する税や料金を設定しています。たとえば、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州の特定の観光地では、地方政府が観光関連の料金を設定していることがあります。これらの料金は、観光業による地域社会への影響を緩和し、持続可能な観光を実現するための資金源となっています。

 

現時点でオーストラリアには全国的な観光税は存在しませんが、GSTや出国税、環境保護のための特定の料金が観光客に適用されています。また、環境保護やインフラ整備を目的とした観光税の導入が将来的に議論されている地域もあります。観光客として訪れる際には、これらの費用や政策を理解し、旅行計画に反映させることが重要です。