当初オーストラリア政府はコロナウイルスは遠い国の問題。極東のアジアに限定されたインフルエンザ的な存在だと考えていました。 これは何もオーストラリアに限った話ではなく、欧米のほとんどの国々でコロナウイルスの話題すら上がっていなかったのが、現状でした。
大半の日本人はオーストラリアは白人国家の様に思っているかと思いますが、実際は世界中からの移民で成り立っている国で、その中には欧米人だけではなく、中国を中心としたアジア各国からの移民が近年大きなナンバーを占めています。
対岸の火事と安易に構えていたオーストラリア政府は、旧正月に行われる中国人の民族大移動、同性愛者の最大の祭典、マルディグラと、2,3月に立て続けに国外からの来豪者を受け入れた結果、急激な感染者増加につながったと考えられてます。
ただその後のオーストラリア政府が次々に打ち出した政策は、迅速だったと言えます。
まず外国人のオーストラリア入国を制限しました。日本も入国制限を実施しましたが、日本の様な部分的なやり方ではなく、国籍問わず外国人の全面的な入国禁止を発令するまでに要した日数はわずかで、先進国の中では一番早く実行しました。
現在では、オーストラリア国籍保持者及び永住権保持者の入国は認められていますが、空港で厳重なウイルスチェック後、政府指定の宿泊先にこちらの政府の用意した移動車で移動し、その後数週間に渡り隔離され再度検査で陰性が出て初めて解放となります。
その他にも企業は閉鎖し、個人、ビジネスを問わず生命を維持する為の最低限の外出以外は認められておらず、法的効力のない自粛ではなく、違反が見つかれば11,000ドルの罰金が科せられます。
オーストラリアの経済は観光産業に大きく影響を受けていますが、それよりもコロナウイルスの早期解決を選択したようです。
またオーストラリアの経済に大きく関与しているもう一つの産業、外食業界もレストランやバーなどの飲食関係の営業は一切認められておらず、政府の規制期間とウイルス鎮静化次第になりますが、どのくらいの飲食店が倒産するのか不明で、関係者は戦々恐々としております。
国民の自主性に求める自粛ではなく、政府の規制によって、コロナウイルスの新たな感染者を抑え込む方針は正しいと言えますが、コロナウイルスが収まった後の経済はどうなるのか。企業へのサポート面から考えると、こちらは日本の方が対策が練られている印象があります。
オーストラリアは閉鎖を余儀なくされた企業へのサポートを発表しましたが、その金額や方法、時期などについては、不鮮明な点が多く、唯一明確になっているのは、家賃の対応を最大で6か月猶予になっておりますが、これはあくまでも猶予で6か月後には支払わないといけません。そもそもですが、体力がない企業が家賃の支払いが行えずに、先延ばしする訳なので、6か月猶予を貰ったとしても、払えない可能性が高いと言えます。この辺りの万事問題を先送りするのは、オーストラリアの国民性なのかもしれません。
日本では国民への給付金が少ない等のマイナス面だけをマスコミが取り上げ大騒ぎをしていますが、海外に住んでいる身としては、取り上げ方がフェアーではない様にも見えます。
確かに日本の法律、国民性が邪魔をし、有事の際への迅速な対応に関しては、明らかに後れを取っております。ただコロナウイルスによって大ダメージを受けた、これから受ける企業へのサポートは、世界でもトップクラスだと思えます。
公平な目で見ますと、コロナウイルス撲滅に関してはオーストラリアの方が優れ、経済面から見た企業へのサポートは日本の方が優れており、どちらも一長一短だと言えるでしょう。
その他にも日本の医療システムは、オーストラリアだけではなく、万人がある一定水準以上を受けられるメリットもあります。これは世界的なスタンダードから考えますと、素晴らしい事です。 日本に住んでいると世界の常識ではありえない恩恵を多々受けられます。デメリットばかりに目を向けるのではなく、自分達が世界的には数少ない恩恵を受けている国民だと感謝する必要もあるのではと思えます。